目的変数と説明変数の段階的高度化に向けて
September 23, 2024
はじめに
外国為替(FX)市場は24時間取引が行われ、高頻度で大量のデータが生成されます。このデータの特性を活かし、機械学習モデルを用いて価格予測や取引戦略の最適化を行う試みが活発化しています。 本記事では、モデル構築の第一段階として、単一通貨ペアのOHLCV(始値、高値、安値、終値、出来高)データに焦点を当て、基本的なモデルを構築・評価する方法を詳しく解説します。これにより、モデルの基礎を固め、段階的に高度な要素を追加していくための土台を築くことが可能となります。
単一通貨ペアのOHLCVを利用したモデル
まずは、最も基本的なデータであるOHLCVを用いて、価格変動のパターンやトレンドを解析します。これらのデータは、技術的指標(テクニカルインディケーター)の計算にも広く利用されており、機械学習モデルの説明変数として有用です。
説明変数の候補
-
価格変動指標
- 過去N期間の終値の移動平均(Moving Average)
- ボリンジャーバンド(Bollinger Bands)
- RSI(相対力指数)
-
ボラティリティ指標
- ATR(Average True Range)
- 過去N期間の高値と安値の差の移動平均
-
モメンタム指標
- MACD(Moving Average Convergence Divergence)
- 過去N期間の価格 変化率(Rate of Change)
-
ボリューム関連指標
- 過去N期間の出来高の移動平均
- OBV(On-Balance Volume)
-
時間関連特徴
- 曜日
- 時間帯(取引セッション)
目的変数の候補
-
短期価格予測
- 次の1時間/4時間/日の終値
- 次の1時間/4時間/日の価格変動方向(上昇/下降/横ばい)
-
ボラティリティ予測
- 次の1時間/4時間/日のATR
- 次の1時間/4時間/日の価格変動幅
-
トレンド予測
- 次のN期間のトレンド方向(上昇/下降/横ばい)
- 次のN期間の累積リターン
-
エントリー/イグジットポイント分類
- 次の1時間/4時間/日が買いエントリーに適しているか(Yes/No)
- 次の1時間/4時間/日が売りエントリーに適しているか(Yes/No)
モデル構築のポイント
モデルを構築する際には、以下の点に注意が必要です:
- データの前処理
- 特徴量選択
- モデルの選択
- 評価指標の設定
次のステップ
単一通貨ペアのOHLCVデータを使用したモデルの性能を評価した後、さらなる高度化を図ります:
- 複数の時間軸のデータを組み合わせる
- 複数の通貨ペアのデータを利用
- 外部データの取り入れ
- より高度な機械学習アルゴリズムの適用
リスクと課題
モデルの高度化に伴い、以下のリスクや課題にも注意が必要です:
- 過学習
- データの品質と量
- 計算資源と時間
まとめ
段階的なアプローチを採用することで、モデルの複雑さを管理しつつ、安定した性能向上を実現することが可能です。基本的なOHLCVデータから始めて、徐々に新たな要素や高度な手法を取り入れることで、実用的で信頼性の高い機械学習モデルを構築できます。
今後の展望としては、リアルタイムデータの活用や自動取引システムへの統合など、さらなる応用が期待されます。継続的なモデルの検証と改善を行い、変化する市場環境に適応できる柔軟なモデルを目指しましょう。